昨今のヨガブームで多くの方が求めているものは美と健康です。実際にクラスに来てくださる生徒さんの9割はそのような理由でいらっしゃいます。痩せたい、ダイエットしたい、引き締めたい…など様々な場面にヨガが役に立つことは間違いないでしょう。ですが、ヨガは果たしてダイエットに最適なのでしょうか?残念ながら、即答でイエスとは答えられないのが現実です。これを聞いてがっかりされた方もいるかもしれません。安心して下さい、全く役に立たないわけではありません。ただ、体重の増減においては最適な方法とはもしかしたら言えないかもしれません。
まず、ダイエットの目的は体重を減らすことです。特にホットヨガではダイエット目的でいらっしゃる方も多く、たくさん汗をかくのでなんだか体重も減りそうな感じがしますね。ですが、厳密にいうと暑さによる発汗がメインなので、レッスン後の体重の減少は体の水分量が減ったことによるものが原因であると考えられます。反対に言えば、それだけ水分が減っているのでしっかり水分補給をしなければ脱水に陥る可能性があるということです。実は私も経験があります。もともと低血圧で水分を多く必要とする体質なので、レッスン中にたくさん水分を摂取してはいたのですが、ただの水を飲んでいたのでしっかり吸収されずに水分不足に陥ってしまいました。ひどい低血圧になり、めまいと吐き気で立ち上がることも難しい状況でした。その時の血圧はなんと50/30!よく意識があるねとお医者様に言われてしまいました…。それ以来、経口補水液を飲むようにしています(経口補水液については塩分糖分を含むため状態によって飲まない方がいい方もいらっしゃいますのでご注意ください)。ホットヨガレッスンでほとんど水を飲まない方をたまにお見掛けしますが、危険なのでしっかり水分を補給してくださいね。
ここで言いたいことは汗をかく=痩せるということではないということです。もちろんホットヨガのメリットはたくさんあります。ただ、汗をかくからダイエットにいいと短絡的に考えるには注意が必要だということです。
では、痩せるためには何が必要でしょうか?まずカロリー摂取量がカロリー消費量を上回らないことが必要です。とりすぎている食事やデザート、お酒は控える必要があります。ですが、極端な食事制限は禁物です。欠食することで空腹が続くと、筋肉が分解されエネルギーとされてしまいます。筋肉量の減少は基礎代謝を下げることにつながり、カロリー消費が少なくなります。つまり、筋肉量を増やしながらカロリー摂取をうまくコントロールすることが体重減少には必要です。この点においてヨガはどのように役に立つでしょうか?
まず、運動量の多いクラスを定期的に受講することや、セルフプラクティスで取り入れることはカロリー消費や筋肉量増加につながります。特にヨガの動きはインナーマッスルをよく使いますので見た目の引き締まりにも効果的でしょう。反対に、あまり運動量の多くないストレッチメインのリラックス系クラスはカロリー消費や筋肉量増加が期待できず、その観点から言えばダイエットには向きません。ただし、ストレッチなどで姿勢改善することで、今まで使えていなかった筋肉を正しく使うことにつながります。そういった間接的な効果は期待できるでしょう。
また、ヨガでは呼吸を意識的に行うことで自律神経のバランスを整えてくれます。ストレスによる過食や飲酒が原因によるカロリーオーバーの場合、自律神経バランスが整うことでストレスが軽減し、それによる過食や飲酒が減っていきますのでカロリー摂取のコントロールにつながります。
以上のように運動量の多いヨガをすることによって効果的に体を使うことによる消費カロリー・筋肉量の増加や姿勢の改善は見た目や、基礎代謝上昇を期待できます。ただしそれは汗をかくこととは必ずしも比例しませんので注意が必要です。また、精神的な側面でストレスが減少していくことにより過食や飲酒量が減りカロリー摂取量も減少します。それも結果的に体重減少につながります。ですが、カロリー消費や筋肉量を増やすことについてはトレーニングやピラティスの方が効率よくできる可能性が高いでしょう。身体的側面からみるとヨガは効率のいいダイエット法とは言えないということです。
ヨガが役に立つのはそこではなく、ヨガの本来の目的である精神的な面における安定の方が大きいといえるでしょう。それは体重や見た目のみならず、その人の考え方や表情、言動、生活にも影響を与えます。暴飲暴食が減り、選ぶ食事も変わっていきます。痩せていることだけが美しさではないとも気づくでしょう。精神的な安定は本来の美しさを気づかせ、その人の内面からあふれ出す美や健康を生み出します。ダイエットで痩せることだけが美しいのではなく、自分自身から輝く本来の美しさ。それこそがヨガでたどり着ける美と健康となるでしょう。それは心も体も健やかな毎日を送ることにつながります!
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