ヨガをするとイライラはなくなるの?

2018年3月10日櫻井麻美
2018年3月10日2018年5月24日

最近ではヨガの体に対しての作用だけではなく、心に対しての作用も注目されるようになってきました。ヨガをしてリラックス効果があったり、ストレスが軽減されることで心が落ち着いてイライラしにくくなるということも知られてきました。本当にヨガをするとイライラはなくなるのでしょうか?

身体的側面からの作用でみると、ヨガで呼吸を深くすることで自律神経の副交感神経が優位になり、リラックス状態になるのでストレス軽減は期待できます。呼吸を大事にするヨガならではの効果ですね。

もう一つのヨガにとって大切な側面、瞑想としてのヨガという観点から見てみると、よく“心を無にする”というフレーズを耳にします。あたかも怒りなどの感情がなくなっていくような印象があります。これは、瞑想をすることで感情をコントロールすることに起因した言い方ですが、少し注意してみる必要があります。

瞑想は、内面に浮かび上がってくることがらを丁寧に見つめていく作業です。いろいろな手法がありますが、一点に考えを集中させていくことで頭の中を整理整頓していきます。目を閉じて自分の内面に注目してみるとわかるように、私たちの考えや感情は止めることはできません。浮かび上がっては消え、また浮かび上がる、その繰り返しです。ですが、集中を研ぎ澄ませていくとだんだんとそれがゆっくり感じられ、あたかも止まっているかのように感じられることがあります。それがいわゆる“無”になる瞬間と言われます。ただ、何もなくなってしまうわけではありません。浮かび上がってくる感情に流されなくなる、といったほうがわかりやすいかもしれません。

私たちはしばしば突発的な感情が沸き起こってくると反射的にその感情と一体化してしまい、私=感情になってしまいます。その結果、人を傷つけるような言葉や行動を起こしてしまうことが多々あります。ですが、瞑想を深め内面が整ってくると突発的な感情が沸き起こった時にも、その感情を自分から離して考えることができます。客観的に感情をとらえることで、適切な態度をとることができるのです。つまり、感情がなくなるのではなく、客観的に自分の状態をとらえ、対処できるようになるということです。感情のコントロールとは、感情自体を止めたりするのではなく、内面に浮かび上がってきたものから言葉や行動として外に出すまでにコントロールをする、ということなのです。イライラ自体はなくなるわけではなく、イライラから自分を引き離すことができるようになるのです。それは相手または自分への接し方の変化をもたらしてくれます。

感情に振り回されてしまいがちな人はぜひ瞑想をして、自分をじっくり見つめてみてください。客観的に自分を見ることができるようになると、イライラに振り回されることも徐々に少なくなっていくかもしれません。