怒ることってなくした方がいいの?

2018年7月16日櫻井麻美
2018年7月16日2018年7月16日

ヨガをすると心が落ち着く、リラックスするとよく言われます。怒らなくなった、イライラしなくなった、と変化を感じる方も多いですね。価値観が少しずつ変わり、今まで固執していたものが離れていくのでそのように感じることが多々あります。ただ、そう聞くと「イライラしている私はまだヨガの修行が足りない」「イライラしている私はなんてダメな奴なんだろう」と感じる方もいるかもしれません。怒りという感情はなくした方がいいのでしょうか?

怒りの感情がいけないと思われるのは、それに振り回されることが多いからでしょう。怒りのエネルギーはとても強いので、衝動的に起こった感情に一気に動かされ相手を傷つける行為をしてしまうことがあります。直接的な暴力だけでなく、言葉の暴力も含まれます。だからこそ、その怒りに振り回されないようにする必要があるのです。ですが、怒りという感情を全くなくすなんてできるのでしょうか?

感情のマネージメントとは、感情をなかったことにするのではありません。また、湧き上がってきたものを押さえつけるものでもありません。感情とはいつだって勝手に湧き上がってくるものです。それは人間ですから、どんなに高度な成長を遂げたとしても起こりうるのです。ですから怒りの感情を無くすことは不可能です。イライラしているからって「自分はダメな奴だ」なんて思う必要はありません!むしろそのように自己嫌悪に陥ってしまうことはもっと事態を悪くしてしまいます。

ですが、怒りをなくすのは不可能であるからといってそれをそのまま外に出してしまうのも問題です。先ほど述べたように、怒りの感情に突き動かされ誰かを傷つけてしまうことはすべきではありません。ではどのようにすればいいのでしょうか?

まず、自分の感情の動きに気づきましょう。怒りに突き動かされてしまう人は、怒りが沸き起こったと気づく前に行動に移ってしまいます。そうではなく、怒りが沸き起こってきたことにまずは気付くべきです。客観的に自分を見つめ、「私」の中に怒りが沸き起こってきた、と捉えるのです。そうすると、自分の状態が変化しているだけで、いつかはその感情が過ぎ去っていくことに気づくでしょう。「私」が怒りそのものになってしまうのではなく、「私」が怒りの状態であると捉えるのです。その状態が過ぎ去っていくのを待ちましょう。呼吸に集中して怒りの感情から離れたり、怒りの対象となる人がいるのならばその人から離れたりしてもよいですね。そのようにして、怒りが沸き起こってきたことに関して罪悪感を抱くのではなく、そこからどのように行動するかが大切なのです。最初は難しいかもしれませんが、練習するにつれてだんだんと自分より客観的に見えるようになってきます。

もし日常の中で怒りが沸き起こってきたら、練習をするチャンスです!自分に怒りをもたらす人に対しても、自分を成長させてくれる人だと感謝してみましょう!!他人や怒った物事を変えることはできません。変えられるのは自分の捉え方や行動だけなのです。そのようにして怒りをなくそうと見て見ぬふりをするのではなく、うまく付き合っていくと、人や物事に対する捉え方も変わっていきます。そして結果的に今まで怒りを感じていたことについても、そう感じなくなってくるでしょう。それらはきっと自分に心地よさをもたらしてくれますよ!