ヨガは一部の人のものではありません。だれにでも平等に楽しめるツールです。ですが、ヨガをしていると誰かと自分を比較してしまうことがあります。周りの人のポーズをつい見て、自分と比較することはありませんか?きっと誰もが経験があるはずです。でもそれで得られた感覚は何かの役に立つものだったでしょうか?
他人と比べて前屈が届かない自分に抱く劣等感。人によっては他人よりも“うまく”ポーズができている自分に抱く優越感かもしれません。では、そのあとに続くレッスンはどのように過ごすことになるでしょう?
劣等感を感じれば、できればその劣等感を感じないで済むように必死で、ときには無理をしてポーズを取ろうとするでしょう。見かけは周りに近いように近づけてみても、実際は間違った体の使い方をしているかもしれません。優越感を感じれば、人に見られることを意識してポーズを取ることになるでしょう。どうやったら“うまく”“きれいに”見せることできるかということだけを考えてレッスンを続けるかもしれません。
そこに、あるがままの自分はあるでしょうか?おそらくないでしょう。
ヨガのポーズはそのような感覚を得ることが目的ではありません。むしろそれを受け流していくことを目的にしています。ポーズを取っているときに感じる体の感覚、呼吸の感覚、内面の感覚。これらをより心地よいところに置くにはどのようにすればいいのかを探ってコントロールしていく作業です。
劣等感や優越感を抱くことで回りばかりを気にしていると、なんだか疲れてしまいます。自分が本来あるべき姿を偽り続けることになるからです。それでは心地よくありません。その居心地悪さから自分を解放するにはどうすればよいのか。他人と自分を比較して一喜一憂するのではなく、自分の現状をしっかりと認めてあげればよいのです。
偽りのない自分の姿を認めるのは、勇気のいる作業かもしれません。好ましくない一面を発見することもあるからです。ですが、“いい”“悪い”のジャッジメントをしないことも必要です。私たちのジャッジメントはだいたいあやふやなものでできています。一度そのような価値観から離れ、ただただ起こっていることに目を向けてみると自分がこだわっていた何かが、実はどうでもよいことだったと気づくこともあります。
そのような作業をしていくと、あるがままの自分に近づけ、心地よさを味わえるでしょう。その心地よさこそがヨガです。その時に得た気づきはきっと日常にも生きていくはずです。誰かと比べて外側へ意識を向けるのではなく、自分の内側へと意識を向けて、ヨガの心地よさを味わっていきましょう。
シェア