自分を好きになるためのヨガ

2018年8月4日櫻井麻美
2018年8月4日2018年8月13日

ヨガの精神的なエッセンスで大切なことは、自分にOKを出す作業です。こんな欠点がある自分だけどしょうがない、できないことがあるけれど開き直ろう、といったあきらめではありません。どんな自分でもすべて受け入れていく作業です。それを実践していくことで自己肯定感を高めてくれます。

自己肯定感とは、自分のことを好きでいること、自分が価値のある人間だと感じることです。自己肯定感が高いとどんな失敗をしても「私なんかだめだ」とあきらめてしまうことなく、うまくやるにはどうするかと考えたり建設的に物事をとらえることにつながります。反対に自己肯定感が低いと、自分のことをなかなか認められず自ら卑下したり、物事に対するモチベーションも低くなりがちです。

そうなってしまう原因を考えてみましょう。誰かに認められる経験が少ないと自分に価値を見出せずに自己肯定感が低くなってしまいます。日本人は自己肯定感が低いとよく言われますが、日本ならではの謙遜の文化にも一因があります。子ども時代に誰かに褒められても「そんなことないんですよ」と親に言われたり、「自分なんて大したことないんですよ」と言うことがよしとされる文化で育てば、自己肯定感は育ちにくいでしょう。周りと足並みをそろえることが推奨され、出る杭は打たれることで徹底的に自己肯定感を低くされているのです。

こんな悲しい現状もありつつも、自己肯定感を高めるのに役に立つのがヨガです。私たちは何かが足りない、何かをつけ足そうといろいろなものを求めます。物質的なことのみならず精神的なことに関してもそうです。誰かに認められたい、ほめてもらいたい、役に立ちたい、それらは決して悪いことではありませんが、それだけが自分を認める判断基準なのでしょうか?自分の価値を決めることを他人に依存するのはやめるべきです。誰にでも好かれる人間になることなんて不可能ですから、他人に対して取り繕うことに疲れてしまうだけです。そうではなく、まず自分が自分の価値を認めてあげましょう。私たちは知らず知らずのうちに物事に対してジャッジメントを下しています。そしてそのジャッジメントはなんともあいまいな、揺るぎやすい基準によって成立しています。痩せていることが美しいとされる国もあれば、太っていることが美しいとされる国もあります。文化や年代によって価値観は様々です。絶対的な正解などない基準に照らし合わせて一喜一憂することに意味はありません。

今の自分の状態をまずはしっかり把握すること。自分はどういう人間で、何を考えていて、どうしたいと思っているのか。自分を掘り下げてみましょう。そしてそれをそのまま認めていくのです。そこにいい悪いのジャッジメントは一切必要ありません。ただ、そうなんだと受け止めていきましょう。その作業の繰り返しです。最初は難しいかもしれません。だんだんと実践を重ねるにつれてニュートラルに物事をとらえることができるようになっていきます。そのように物事をとらえることができれば、自分の欠点だと思っていたことが欠点だとは思えなくなってきます。誰かと比べることも意味のないことと感じられ、自分が価値のある存在だと思えてくるでしょう。人はそれぞれ違う存在です。その違いに優劣をつけるのではなく、それぞれの特性をありのまま認めうまく付き合っていくことです。その作業を繰り返していくことがヨガなのです。

自分の特性をとらえて、認めてあげましょう!いつだって自分にOKを出せるのは自分だけなのですから。