妊娠期から出産・子育て期にかけての女性は激動の時期、それは自分の体だけではなく、社会や家庭の中での役割に関しても同じことが言えます。産前産後の女性にヨガがどう役に立つのでしょうか?実はたくさんのメリットがあります。精神的な側面を見てみましょう。
妊娠すると、妊娠の維持のためにホルモンバランスが通常の状態から変化します。また、つわりやお腹が大きくなることにつれて現れるマイナートラブル、出産に対する不安感や焦りなどもあり落ち込みやすかったり悲しくなったりと感情の起伏が激しくなりやすい時期です。それは仕方のないことです。そんな自分を責める必要は全くないのですが、パートナーや身近な人に当たってしまったりする自分にまた落ち込んでしまう…など悪循環に陥りがちなのも事実です。
産後は妊娠維持のために必要だったホルモンが一気になくなるギャップや、赤ちゃんとの生活で昼夜関係のない授乳やおむつ替えでの睡眠不足、今までの生活とは一変し自分のペースでは送れない毎日に対するストレスも重なり余裕のない状態になりがちです。パートナーや身近な人に頼れない母親の大変さは計り知れません。子どもが大きくなってくると、自分の伝えたいことが子どもに伝わらなかったり、思い通りにいかない子どもの振る舞いについついイライラし怒鳴ってしまう、そしてそんな自分に嫌気がさしたり…と悩みは尽きません。
そんな妊娠期や産後、子育て中の女性にヨガが役立つことにまずはストレスの軽減が挙げられます。ヨガにはリラックス効果があると言われます。具体的に言うと自律神経のバランスを整えてくれるということです。自律神経にはストレスがかかると優位になる交感神経と、リラックスしていると優位になる副交感神経があります。この二つはどちらも必要なものでそのバランスを保つことで私たちは日常を送ることができます。ですが、ストレス過多になると交感神経優位になりっぱなしになるためバランスが崩れてしまうのです。
自律神経は通常意志と関係なくリズムを作っているのですが、唯一私たちの意思で調整できるのが呼吸です。浅く速い呼吸をすると交感神経が優位になり、深くゆったりとした呼吸をすると副交感神経が優位になります。つまり、ヨガのポーズの最中の深くゆったりした呼吸は副交感神経を優位にしてくれるため、ヨガにはリラックス効果があるといわれるのです。ストレス過多で交感神経が優位になりがちだったのをヨガでたっぷり呼吸することで副交感神経を優位にし、バランスを戻すことができます。
もうひとつ、感情のコントロールにもヨガは役に立ちます。産前から産後、子育て期は先に述べたように感情の起伏が激しく、自分の感情に振り回され疲れてしまうことが多々あります。ヨガでは“内観”が重視されます。ただポーズをとるだけではなく、その時の自分に最大限意識を向けることです。今の自分の体の動き方、呼吸の状態はどうか、そして心に浮かんでくる考えや感情など…そういったことを、ただただそのまま感じるという作業です。瞑想にもつながるこの作業は、自分を客観的に見つめることにとても役立ちます。
ついつい私たちは怒りなどの感情がこみ上げると反射的に口から言葉を発してしまったり、行動に出してしまうことがあります。そしてそれは、大体よくない方向に進んでしまうものです。内観することに慣れてくると、自分の今の状態に気づきやすくなります。今、自分の中に怒りが沸き起こってきた、とか、悲しいと感じている、とか客観的に分析することができます。客観的な分析をすれば、怒りにかまけて放っておいた原因の解決にも理性的に対処できるはずです。何より赤ちゃんや子どもに対して怒りに任せた言葉を発してもたいていうまくいきません。具体的に「~~してね」などしっかり対応できれば子どもは意外と聞いてくれることも多いです。(うまくいかない時ももちろんあります!私も沢山失敗しました…でも、大丈夫、次に生かしましょう!)
子どもができるとどうしても子ども優先になってしまい自分のことはおろそかになりがちです。ですが、自分をマネージメントできるのは自分だけ、子どもは自分を映してくれる鏡なので自分がニコニコしていれば子どももニコニコしてくれます。自分が怒った顔をしていると子どもも怒った顔になります。自分を健やかに保つための一つのツールとしてヨガをぜひ試してみてください。そして、子どもとの楽しい毎日が送れますように!
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