難病とヨガと私

寝たきりだった私がヨガで難病を克服した話

2018年1月8日SaYaHa
2018年1月8日2018年5月24日

皆さんはMEcfsこと筋痛性脳脊髄炎と言う難病ををご存じだろうか。慢性疲労症候群とも言われる難病で、まだ日本では難病指定されていない重度の患者は寝たきりの生活を余儀なくされる謎の多い難病だ。そんな難病に私は2013年、アメリカで起業していたビジネスも右肩上がりで全てが順調(?)そう思っていた時になった。

ある日突然週7日アクティブにダンスを教え腹筋も割れるほど身体もベストのコンディションの時に寝たきりになった私は生活が180度変わった。極度の倦怠感に数々の病状に襲われ寝たきり、誰かの手伝いがなければ生活ができないほどの病人に一晩でなったのだ。ダンス、フィットネスのプロとしてアメリカと日本で既に10年以上の経験があった私だが、他人の身体になってしまったような不思議な感覚と激しい痛みを伴う多くの症状に襲われ数多くの医者、そして家族の判断で築いてきたビジネスを一度諦め治療に専念する事になった。治療に専念すると言っても難病になる詳しい原因も分からない、確立された治療法もない難病との毎日の生活は日々痛みと涙との戦いで、MEcfsになった最初の一年は回復の兆しがなく、ただただ生きることに一生懸命、それだけだった。

難病治療で時間を多く過ごす事になったハワイでは、様々な所でヨガを。

正直最初の一年はほぼ記憶がない… それが現実。

寝たきりの私は身体的に寝たきりなだけではなく、脳の活動もシャットダウンしていて寝たきり、常に眠りの中にいた。1ヶ月、又は2ヶ月に一度の専門医の通院へも体調が悪いと座ることも不可能なため行く事ができなかった。まれに体調が良い時にヨガをしてみては、5分後に凄まじい痛みに襲われるか30分動けてもその後まったく動けず数日寝込むので何をしてもダメだった。そんな絶望の真っ只中にいた私に希望の光が見えたのが丁度MEcfsを発症して一年が経った時だった。痛みや、極度の倦怠感、日々続く発熱に、全身のリンパの腫れ等の症状が少しではあるが軽くなってきたのだ。

徐々にではあるが体調が回復してきた様に感じ短い時間だけれどもヨガを毎日続けるようにスタートした。MEcfsはついついやり過ぎると身体がシャットダウンしてしまうのでとにかく疲れる、痛みが出る前にやめるがモットー。だから、まずは呼吸法からスタートしベーシックなヨガを毎日の生活に取り入れ始めた。ダンスやフィットネスのプロとしてのプライドを一度捨て、全てはBaby stepで一歩一歩地道に少しずつの前進だった。体調が悪いと寝たきりで一人でいることが多い難病な為早く誰かとヨガをしたいと思う気持ちがあるのとは裏腹に、レッスンへ向かう体力と、60分、75分、90分のヨガプラクティスをしてまた帰宅する体力をつけるまでには大分時間がかかった。まずは5分、数週間続けられたら10分と全てがBaby step… 赤ちゃんのようにゆっくり少しずつの道のりだった。ただ一つ言えることはここからMEcfsからの本当の意味での克服への長い道のりが始まった。そして私の中でのヨガが以前に増して大きくなった。

ヨガプラクティス同様に私が難病克服をするためにしたのが生活をより本来の人間らしい生活にする事、環境を変えることだ。幸福な事に私の両親が自然が豊かな静岡の伊豆高原にセカンドハウスを持っていたので、アメリカから治療のために神奈川の実家に帰国していた私は月の半分の拠点を静岡の伊豆高原に移した。伊豆高原では日帰り温泉ができるところがいくつもあるので週に2、3回温泉に通い、夜は早いときは暗くなってすぐ、7時に、普段は8時、9時に寝ることを心掛け、朝は日の出と共に起きた。食べるものもできるだけ自炊の栄養がとれるものにし、自然と共に正にヨギーが目指す生活を始めた。ただ、気圧の変化で体調に影響が出たりとその日にならないと何ができるかも分からない毎日だったのでとにかく無理をせず、自然に身を任せて心身共にストレスがかからない生活を心掛けた。

日本で拠点にしていた伊豆高原で早朝のサンライズヨガ。ヨガと共に早寝早起きの生活を心がける。

私は医者ではないので何がどの様に化学的変化を起こしたのかは分からないが、そんなスローライフで何も考えず健康のことだけを考えた生活を続けた結果2015年の冬、ハワイはホノルルでフルマラソンを4時間13、14分で完走できるまでになり難病を卒業する事が出来た。ヨガの効果は絶大で、身体は皆が憧れるような筋肉美の締まった体つきになり、ヨガプラクティスを数時間やっても物足りないほどの健康体になった。本来の難病になる前の自分に戻れた。(もしかすると難病になる前よりより心身ともに健康になれた!? )

以前からヨガが大好きで、生活の一部になっていたが、皮肉にも難病になったことでよりヨガは私の生活に欠かせないものになった。難病を克服し仕事量も増やすなかで、まだ未開拓のSUPヨガ、エアリアルヨガ、そしてアクロヨガ等の幅広いヨガにも挑戦してみたり、ヨガのモデルも経験させて頂いた。ヨガとの付き合いはとても深いものでこれからもこの関係は切れることがないと思う。2017年はまた人生において大きなイベント、結婚、妊娠、出産を経験しその中でもヨガはとても大きな役割をはたした。今後もヨガと未来を切り開いていきたい。

難病を克服し新天地ハワイでヨガウエアモデルをした時の一枚。